ミュージックスクラムと題し、ライブハウスとミュージシャンによる

配信ライブ研究会を立ち上げました。

ギタリストの鬼怒無月(きどなつき)さんのお声掛けにより始まった

この配信勉強会の成果を対談形式でHPにまとめ、皆様に活用していた

だこうということで、本日、第1回目として、荻窪ルースターの佐藤さ

ん、高田馬場音楽室DXの賀山(かやま)さん、高円寺JIROKICHIの金

井さんの対談をお届けしたいと思います。

 

 

高円寺JIROKICHI金井(以下金井):荻窪ルースターは創業何年になられますか。

 

荻窪ルースター佐藤(以下佐藤):うちは1997年にオープンなので、創業24年に

なります。

 

金井:もう大変歴史のあるお店ですね。

 

佐藤:いえいえ……だってジロキチさんに至っては……

 

金井:46年目になります笑。

 

佐藤:長っ! 笑。

 

金井:ルースターに出演しているミュージシャンはプロの方が多いと思います

が、ジャンルというか、どのようなバンドが主に出演されていますか。

 

佐藤:まぁ、ルースターって名前がそもそもそのブルースの曲名だったりするんでブルース

系が多いのと、あとジャズ、ブラックミュージック系とかフュージョン。あとは歌謡曲や

ラテンですね。月曜日はオープンマイク的なブルースセッションも行っています。

 

音楽室DXは何年目でしたっけ。

 

高田馬場・音楽室DX賀山(以下賀山):うちは2009年にオープンなので、丸

12年になります。出演は、ロック、フュージョン、ポップスやアコースティッ

クも多いですね。普段大きな会場でやってるバンドのアーティストがソロで弾き

語りをやるというようなこともあります。

 

金井:この対談を読んでいるミュージシャンの方が配信ライブをしたいと思った

場合……_例えば僕がバンド組んで音楽室DXに出たいと思ったらどうしたらいい

んですか笑。

 

賀山:電話をください笑。

 

佐藤:いきなり行って、俺だ、配信やらせろーみたいな笑。

 

賀山:ブッキングは、よくある音源やプロフィールを送ってくださいとかいうよ

り、ミュージシャンの紹介とか、こちらからオファーとか、主に横のつながり。

そういうパターンがほとんどですよね。

 

佐藤:出演者を募ってというライブハウスと、そうではない店があると思います

が、たとえばブルーノート東京にデモテープ送ったり、店が出演者を募集しない

のと同じ感じでしょうかね。

 

金井:ジロキチも昔からそんなふうにラインナップは決まっています。信頼関係

の構築も重要だし、やっぱり演奏技術の問題もありますし。

けれど今は、こんな時期で、なかなかスケジュールが埋まらないんで、我こそは

と思う人はプロフィールと映像などを添付してお店にメールをいただけたらと思

います。

 

 

配信ライブを行うことになった理由、経緯

 

金井:去年の最初の緊急事態宣言前に、ライブハウスはマスコミに名指しで叩か

れ、ただ何も出来ずに、黙って休業せざるを得ない状況でした。

そんな中で荻窪ルースターと音楽室DXが配信ライブを始めたきっかけは…… 。

 

賀山:今、あらためて一年前を思い返すと……_3月、4月あたり、先が見えなく

て、けっこうしんどかったですよね。配信ライブは、全く考えていませんでし

た。そういうシステムがあるのは知っていましたけど、何を用意していいのかも

全然わからなかったですし。あとやっぱり、一番大きな問題はどれぐらい費用が

かかるのかということでしたね。

 

金井:ジロキチは、ちょうど45周年記念のイベント中だったので、中止になっ

たライブの前売チケットがすべて払い戻しになって、お金が本当になくなった

笑。配信機材なんて買う余裕がなかったので、どうしようって感じでした。

荻窪ルースターは配信はいつから始められたんでしょうか。

 

佐藤:(2020年の)5月くらいからですね。3月頭からライブが次々中止に

なったり延期になったりしたわけですけれど、そんな中、まだ配信というものが

定着する前に、まずYouTube でスーパーチャットっていう投げ銭システムが使え

るんじゃないかって話が盛り上がって。うちもYouTube チャンネルは一応あった

んで、止まってたのを急遽生かして。

それで配信をやろうと思ったんですけど、色々調べていくうちに、他にもやり方

があるんだっていうことになって。それで、YouTubeはやめて、5月から本格的

にツイキャスを使って始めたんです。

とにかく始める前は、ずっと勉強でしたね。配信って勝手にやっていいのかって

ことさえもわからなかったから_。さっき賀山さんがおっしゃったように、そも

そも何を用意したらいいのか、どうすればいいのか、与作、じゃなくて模索して

ましたね。笑

 

一同:笑

 

賀山:僕は最初、ほんとに何もしなかったんですよ。店の掃除ぐらいしかやるこ

となくて、どうしたもんかなと思ってたんです。

でも、大きなきっかけがあった。あるブログを読んでピンチな時はとにかく外に

向かって発信する事やサービスを考えることを大事にしたほうがいいという言葉

に影響を受けて……とにかく作れるもの作っておこうとまずYouTube チャンネ ルと

通販のサイトを登録した。それでTシャツを作って通販をさせてもらって、 おかげ

さまで多くの人に買ってもらったりとか……。 そうこうしているうちに音楽室DXに

毎月出演してくれている井上昌己(しょう こ)さんというアーティストがいて、彼女の

事務所が持っているレンタルスペー スみたいなところで、YouTubeの配信ライブを

やるから音作りを手伝ってほし い、と頼まれて……。ありがたいことに前もって配信

のテストをする日があって、YouTube に僕が作った音を送ってチェックするという

作業を半日かけてやったんです。配信と会場の音作りが違うので、こうやったら

こういうふうに聴こえるとか、体験できたんですよ。4台のカメラを使った最新の

設備や配信のやり方も初めて見た。その体験が、ちょっとトライしてみようかなと

思ったきっかけですね。

けれど、そのとき見たプロ用の機材を揃えようと思うと、100万円とか普通に

かかるので……

その配信スタッフの方にメールで色々聞いて最低限どんな機材

を揃えれば良いかなどを具体的に教えていただいたんです。

ネットでも色々調べました。今考えるとかなり無謀なスタートだったと思います。

そんな感じで、準備不足ながら、5月後半からスタートしました。

 

金井:(2020年の)5月って、まだ私たちライブハウスは休業要請があった

り、世間の目が厳しかったりで、営業再開の見込みが立たなかった時期ですよ

ね。とにかくしばらくはお客さんを入れられない。

でも無観客の配信ライブならやってもいいみたいな情報ってちらほら聞こえてき

ていましたよね。

 

佐藤:そう! 調べたんですよ。そういう話があったので、東京都に問い合わせ

したり……そのうち、都庁のホームページにやっていいですよって掲載され て、これでで

きるじゃん……って。

賀山さんの話を聞いて、今思い出しましたけど、最初は、ユーチューバーたちは

どうやって配信してるんだろうとか研究したんですよ。配信の解説動画を上げて

いる人がいて、なるほどって。

権利の問題とか著作権とか色々あって検討した結果、うちはYouTubeではなく、

ツイキャスにしましたけど、最初の頃はもう試行錯誤で、とにかく手探りでし

た。ライブハウスなんだから生演奏を聴かせるのが売りだったわけだし、配信な

んて……って思っていましたけれど……あの時はそれしか活路がなかったから

ねぇ。

 

金井:うちは最初、Facebookでやろうと考えていました。Facebookはスーパー

チャットみたいに投げ銭ができるようになるとか情報があって。それで配信のテ

ストをしてみようというところから始まって……_息子がバンドやってるので、

手伝ってもらったり。

賀山さんは、一番最初の配信ってうまくいったんですか?

 

賀山:はい、当時はうまくいったと思ってましたね。ドラム、ベース、ギター、

バイオリンという特殊な編成のセッションでしたけど、一応途中で止まることも

なく大きく映像が乱れることもなく終わりましたから。

 

金井:最初はYouTube でしたっけ。

 

賀山:はい。去年の5月21日って、配信を始めた店としては早い方だったと思う

んですよ。お客さんもライブに飢えていて。ミュージシャンも一か月半とか2ヶ

月近くライブができてない状態だったので、その溜まったエネルギーの爆発が

あったり……勢いでやって、とりあえず成功だったと思います。 でも当時の配信を

振り返って観てみると……まぁ懸命にやりましたけど、音の

バランスだったり音量だったり全然できてないなーと。カメラ割りがどうこうな

んてことはいいとしても、画面全体のトーンの暗さだったりとか。

それに最初は機材が揃ってなかった。あの時点では成功だと思いましたけど……

今思うと、よくお客さんもミュージシャンも満足してくださったなっていうの

はありますね。

 

金井:ジロキチも、MCマイクのこととか、配信用に照明をどうしたらいいと

か、インターフェイスが必要だとか、基本的なことさえもわかりませんでしたか

らね。

荻窪ルースターは第1回目の配信はうまくいったんですか。

 

佐藤:ビデオカメラ1台とスマフォだけでやったんですが、2カメなんで、全体

を撮影する固定カメラと、時々ソロのときに寄ってアップにするためにスマフォ

を使うという方法でやったんですけど、それぞれの画質の違いが酷くて……

ちょっとまずいな、と思いながらでしたね。

あと、チャットで、視聴者のコメントがリアルタイムで出るんですが、これを出

演者に見せながら配信できないかなと思って、スクリーンにプロジェクターで映

すということをやったんですね。そしたら本番直前に配信の映像が止まってし

まって、やべえと思って、とりあえず何か原因になりそうなものは全部外し

て……結局そのコメント閲覧用のプロジェクターも止めてしまった笑。 当時は、原因を

特定するために一つ一つ機材を止めて確認してみるとかできな かったので、何でもかん

でも全部止めて笑。スマフォの電源切れ、とか笑。 とにかくトラブルがあっても、原因が

よくわからない状況でしたね。 でも、その初めての配信のとき、お客さんがコメント欄に

「あ。ルースター だ」って書き込んでくれたんですよ。お客さんは、配信の質とかじゃなくて、

と にかく自分のスマフォやパソコンにルースターのライブが映った、というのに感 動してる

んだっていうのを感じて……うわ、21世紀だ! みたいな笑。

一方、ミュージシャンは、カメラに向かって演奏したけど、無観客だから反応が

ない。拍手もないし、シーンとなるわけじゃないですか。我々もどうしていいの

かよくわからなくて。笑

 

金井:お客さんのコメントには励まされたってすごくありますよね。ちゃんと観

れているんだ聴こえているんだ、ああ良かった、みたいな。

 

佐藤:そうですね。もう無限に、世界中に観てもらえるんだ、って思っちゃいま

したよね。大間違いでしたけれど笑。

COLUMN

Facebook

SNS

ABOUT US

ミュージックスクラム立ち上げにあたって

ミュージックスクラムは2020年の7月から定期的に行ってきた配信勉強会の活動から生まれた情報発信サイトです。
コロナ禍の中でライブミュージックを提供する事を生業 とする者が情報共有によってこの時代を生き抜いて行こうという発想から生まれました。
ミュージックスクラムは2021年7月現在、なんの実績もありませんがライブミュージックに携わる人間がこの状況に立ち向かう気を奮い起こすことのに手助けになればと思います。 

鬼怒無月

MANAGED by...